Q&A | 非営利団体向け Claude

人道支援に AI がもたらす可能性:Prosper Global に聞く

業種:
有益なデプロイメント
会社の規模:
大規模
所在地:
北アメリカ

200 件のプログラム

35 か国以上

パイロットユーザーの 98% が業務の迅速化を実感したと回答

Claude を使用して

Case Study: Mercy Corp
Case Study: Mercy Corp

Read the case study on how Mercy Corps accelerates its global humanitarian response to community feedback with Claude.

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Prosper Global は、35 か国以上で 200 を超えるプログラムを運営する国際人道支援団体です。同団体の AI ソリューション・デリバリーマネージャーを務める Nayid Orozco 氏は、Enterprise ワークスペースの管理から、利用できるデータを定める指針の策定まで、Claude の導入・運用を担当しています。Prosper Global が 13 チームで行った試験導入、現場のチームが自らツールを使えるようになることで生じる変化、そして人道支援の未来における AI の役割について、Orozco 氏に伺いました。

Anthropic:13 のチームが参加するなかで、AI は実際に、貴団体のような組織にどのような変化をもたらしましたか。

Nayid Orozco、Prosper Global:多くの分野では、AI が人と競合するのか、それとも従来の業務を少し速く進める手助けをするだけなのかが議論されています。人道支援では事情が異なります。重要だとわかっていながら、以前はどうしてもできなかったことや、必要なリソースを到底確保できなかったことが、AI によってできるようになるのです。大量のエビデンスや蓄積された学びをまとめ、そこから知見を引き出すことは、以前の私たちには、ほとんどの場合、手の届かない仕事でした。Claude によってそれが可能になり、しかも、人道支援の現場で求められる速いペースに合わせて進められます。だからこそ、私たちのような団体も、「学習する組織」を目指すだけで終わらず、その実現に向けて確かな一歩を踏み出せるのです。

Anthropic:日々の導入・運用を担当されていますが、具体的にはどのような業務ですか?また、Claude を最も多く活用しているのはどのチームですか?

Orozco 氏::私は開発支援のための技術活用を担う部門に所属し、Claude を利用するチームと、法務やデータ保護の担当者をつなぐ役割を果たしています。Claude を特に積極的に活用しているのは、地域社会への説明責任を担うチームと、モニタリング・評価・学習(MEL)チームです。

「重要だとわかっていながら、以前はどうしてもできなかったことや、必要なリソースを到底確保できなかったことが、AI によってできるようになるのです。」
Nayid Orozco 氏Prosper Global AI ソリューション・デリバリーマネージャー

Anthropic:Anthropic:MEL チームは、Claude をどのように活用しているのでしょうか。

Orozco 氏:MEL は、プログラムの有効性や成果を測るための基盤です。私たちの活動が人々の暮らしの改善につながっているかを把握するうえで、欠かせません。大きな課題は、一つのプログラムにとどまらず、200 を超えるプログラム全体で、一貫した分析の枠組みを確立することでした。これには、プログラムや戦略の設計に不可欠なロジックモデルの構築・改善、成果を測るための指標体系の整備、データセットの処理とリアルタイムでの統計分析が含まれます。また、整理されていない資料から、プログラムのエビデンスを要約することもあります。多くの場合、英語、スペイン語、フランス語をまたいで資料を扱い、資金提供者への報告やデータに基づく意思決定に使える形にまとめます。あるアドバイザーは、インパクトの記述、4 つのアウトカム、14 のアウトプットにわたる指標体系全体を Claude と検討した経験から、Claude は単に体裁を整えるツールではなく、まさに思考を深めるパートナーだったと語っています。

Anthropic:以前は実現が難しかった仕事について、具体例をいくつか教えていただけますか。

Orozco 氏:スーダンでの調査に用いる市場データセットの分析は、約 1 週間から 1 日半に短縮されました。以前なら、そもそも実施できたとしても、分析の形は大きく異なり、厳密さも劣っていたはずです。この作業で生まれた処理スクリプトは現在、実運用されており、繰り返し分析を行えるようになっています。世界でも特に脆弱な状況にある地域の一つで、市場の混乱や変化への理解を、さらに深めていくことにつながります。

パキスタンでは、国家結核対策プログラムの一環として、7 州の 15,000 を超える施設を対象に、保健医療情報システム DHIS2 の運用を支援しています。このシステムで発生した複雑な障害の原因を、チームは Claude と一度会話するだけで特定できました。通常なら上級開発者が数日、場合によっては数週間かける作業です。また、調査の設計では、約 280 時間と見積もっていた作業が、約 20 時間で完了しました。得られたのは、時間の短縮だけではありません。取り組める仕事の深さも大きく変わり、以前より踏み込んだ分析やモデリングができるようになりました。

ケニアの JobTech Alliance チームも、その一例です。ソフトウェアエンジニアリングの専門的な経歴を持たないメンバーが、100 万行の SQL データベースにクエリを実行するための MCP サーバーを、自分たちで構築しました。以前なら、専門のエンジニアによる支援が必要だった技術的な作業です。

Anthropic:こうした業務の一部は、今では本部ではなく、各国のチームが担っています。この変化をどう捉えていますか。

Orozco 氏:非常に大きな変化です。現地の状況を最も深く理解しているのは、各国のチームです。Claude を使えるようになると、本部の対応を待たずに、現地への理解を生かして自ら分析できるようになります。これまでとは異なる環境の現場チームに導入を進めるなかで、重要な学びもありました。会話のたびに背景を説明し直さずに済むよう、文脈を継続して保持できることが必要です。また、技術システムのバージョンの違いを踏まえた正確さ、通信環境の限られた遠隔地でも利用できる選択肢、長時間の研修ではなく、短く実践的な研修も求められます。こうして、分析結果を現場の支援活動に直接生かしやすくなり、データに基づく意思決定も進みます。活動の進め方を状況に応じて見直す際も、従来のトップダウン型から現地主導へと変わり、現場の実情に即して柔軟に対応できるようになります。Claude を現場に広げるうえで、私たちが個々の業務の効率化以上に重視しているのは、こうした変化です。

Anthropic:データ保護と、人による監督について、どのように考えていますか。

Orozco 氏:報告に関わる地域の人々を守るために、二つの対策を取っています。まず、データの扱いです。個人を直接特定できる情報や特に機微な内容は、Claude に入力する前に確認して伏せています。入力と出力は、不正利用を検知するために既定の期間だけ保持され、その後に削除されます。私たちに適用される Enterprise の商用利用規約では、カスタマーデータがモデルの学習に使われることは一切ありません。これらの事項はすべて、正式なプライバシー影響評価の文書に記載しています。次に、監督のあり方です。重要なプロセスには、必ず人が関わる仕組みにしました。

Anthropic:職員の反応で、導入前には予想していなかったことはありますか。

Orozco 氏:最も驚いたのは、多くの職員が、Claude を「生産性を高めるツール」ではなく、「考えを深めるパートナー」と呼ぶようになったことです。ある職員は、Claude が的確な質問をしてくれるおかげで、よりよい答えにたどり着けると話していました。ソフトウェアについて、そのような感想を聞くとは思っていませんでした。

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限られたリソースを持続的なインパクトへとつなげましょう。助成金申請書の作成やプログラム成果の追跡を任せることで、チームは地域社会への貢献に専念できます。

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「人道支援における AI の今後に、私たちが最も働きかけたいのは、その恩恵を大きな組織の中にとどめず、地域で活動する人々や団体にまで広げていくことです」
Nayid Orozco 氏Prosper Global AI ソリューション・デリバリーマネージャー

Anthropic:AI を責任ある形で活用したいものの、何から始めるべきかわからない人道支援団体には、どのように助言しますか。

Orozco 氏:対象範囲を絞って、小さく始めることです。そして、データ保護を後回しにせず、最初から優先してください。活用を広げる前に、実際のユースケースごとにプライバシー影響評価を行います。リスクはツールそのものではなく、使い方にあるからです。件数が多い業務や、思考・判断の負担が大きい業務を選ぶと、効果が最も早く現れます。人の安全や尊厳に影響する事柄には、必ず人が関与するようにしてください。また、早い段階から研修や共有プロンプトの整備に力を入れることも大切です。ツールを気に入って使う人と、使いこなせず離れてしまう人の違いは、ほとんどの場合、上手な使い方を誰かに教えてもらえたかどうかにあります。

Anthropic:Prosper Global の今後は、どのような展開を考えていますか。

Orozco 氏:私たちは、地域に根ざした団体を中心に、幅広いパートナーと協働しています。自分たちが AI を使うだけでなく、パートナーも AI を利用し、活用できるよう支援することに、大きな可能性を感じています。人道支援分野では、多くの団体が自組織での AI 活用に注力しています。しかし、より大きな成果につながるのは、地域で活動する人々や団体、さらに小さな地域単位で活動する担い手の力を高めることだと考えています。実際に変化が生まれるのは、そうした現場だからです。

その一部は、Impact Alliance ですでに形になり始めています。これは、主要な NGO 3 団体が、連携を深め、効率を高め、現地主導で活動するための協働の枠組みです。このこの連携の枠組みには、Prosper Global、Save the Children、CARE が参加しています。この枠組みの中で、CommunityInsights Engine という取り組みを進めており、地域から寄せられる声を Claude で分析する予定です。Prosper Global だけにとどまらない展開の可能性を示しています。

Innovation Catalyst プラットフォームも、形になりつつある取り組みの一つです。インパクト投資、イノベーション、市場向けの事業展開という私たちの機能全体に、社会的な成果を生み出すための AI 活用を組み込んでいます。

Anthropic:AI によって、人道支援分野はこれからどう変わっていくのでしょうか。

Orozco 氏:これまで人道支援分野では、自らの活動から得た学びを十分に生かしきれずにきました。AI によって、その学びを継続して効率よく活用できるようになると考えています。支援をよりよく設計・実施できるようになり、活動地域の人々にとっても、より大きな効果が生まれます。特に Claude は、実務に即した調査研究や、活動から学びを得る作業、定性的なデータセットの分析を得意としており、こうした取り組みに適しています。データから学びを得るこうした作業は、まさに私たちの活動の土台です。人道支援における AI の今後に、私たちが最も働きかけたいのは、その恩恵を大きな組織の中にとどめず、地域で活動する人々や団体にまで広げていくことです。