Claude をより優秀な電気エンジニアに育てる

カスタムプリント基板メーカーのような特定領域の専門家との協業が、専門的なタスクをより効果的に処理できるよう Claude を訓練する上でどのように役立っているかをご紹介します。

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  • 日付2025年12月12日
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Diode Computers は、AI を活用してカスタムプリント基板(PCB)の設計および製造を行っています。同社のツールチェーンは、基板設計をソフトウェアの課題へと変換します。ソフトウェアエンジニアが Claude Code などのツールで効率化を図るのと同じように、Diode は同様の技術を応用し、電気エンジニアがわずか数時間で製造可能な状態の基板を設計できるよう支援しています。

Diode が開発および保守を担っているのは、Zener 言語(プリント基板の回路図を記述するために Starlark 上に構築されたドメイン固有言語)と、pcb(Zener 言語を利用して KiCad 上に自動化機能を提供するツール)です。

電気エンジニアにとって重要な業務の一つが、参照設計(リファレンスデザイン)の構築です。特定のチップを組み込む際、設計者は動作に必要なコンポーネントを理解するため、数百ページに及ぶドキュメントを読み解かなければなりません。一般的なチップであっても、抵抗、コンデンサ、インダクタなど最大十数個の付属部品を要することがあり、それらの配線方法に関する体系的な情報は不足しがちと言えます。

現場の電気エンジニアの多くはすでに、レビュー前の段階で非構造化ドキュメントから Zener による参照設計を自動生成するツールとして、Claude Code を活用中です。しかし、特定のドメイン向けのツールを含み、深い専門知識を要する新しい環境であることを考慮すると、参照設計生成における Claude のエージェントとしてのパフォーマンスや、電気工学特有のタスクに対する全般的な理解度には、まだ改善の余地が残されています。参照設計の自動生成タスクを試みる際、よく見られる失敗のパターンは以下の通りです。

  • データシートに記載された回路構成に関する細かいニュアンスの読み漏らし
  • 参照回路図の画像の解釈ミス
  • Zener の誤解や誤用

高度な専門知識を要する特定のドメインにおいて Claude の課題が浮き彫りになった場合、私たちはその分野の専門家と協力し、タスク処理能力を向上させるための訓練を行います。そこで得た知識は公開版のモデルに組み込まれるため、Claude Code、claude.ai はもちろん、Claude を搭載した独自アプリケーションに至るまで、すべてのユーザーがその向上した能力を活用できるようになります。

Claude の支援を受けて設計されたプリント基板を使用するエンジニアのクローズアップ。出典:Diode Computers

問題の範囲の特定

参照設計の自動生成能力を評価し向上させるため、私たちは Diode との共同イニシアティブを立ち上げました。このエージェント型タスクにおいて Claude に求められるのは、チップのドキュメントを入力として受け取り、Zener で完全な参照設計を出力することです。これを正確に実行するには、何ページにも及ぶドキュメントを読み込み、難解な技術文章や図面を理解した上で、チップのあらゆる構成や動作モードを完全に表現した設定可能な回路図を記述しなければなりません。このエージェント型の構成において、Claude に与えられているのはファイルの読み書きと Bash コマンドを実行するツールのみです。Zener コンパイラ、言語のドキュメント、少数のサンプルにはアクセスできますが、それ以外の情報は一切提供されません。

参照設計が正確であるかどうかの判断も、決して容易な作業ではありません。多くの場合、ドキュメントには動作に必要な正確なコンポーネントやパラメータが十分に明記されていません。この問題を解決するため、各参照設計の採点にはカスタムのテストベンチを採用。たとえば、「電源とグランドの間に 20uF のコンデンサがあること」のように特定の部品の有無を厳密に指定するのではなく、「電源とグランドの間に少なくとも 22uF の静電容量を持たせる」といった、上位レベルの要件をテストベンチに組み込んでいます。これにより、モデルが受け取るシグナルは正確性を保ちつつ、過度に制限されない状態が保証される仕組みです。

タスクと成功の評価基準が明確に定義されたことで、私たちは Diode と協力し、プリント基板の参照設計を自動生成する能力が向上するよう、Claude Sonnet 4.5 以降のモデルの学習手法を改善しました。

結果のベンチマーキング

本タスクにおける Claude の性能を評価するため、Claude Opus 4.1、Claude Sonnet 4、Claude Sonnet 4.5 がそれぞれ生成した参照設計のテストセットを用意し、ブラインド形式で直接比較を行いました。その結果、Diode の電気エンジニアは 10 回中 8 回のケースで Claude Sonnet 4.5 が生成した参照設計を支持しました。他のモデルと比べ、Sonnet 4.5 はドキュメント内の細かなニュアンスを的確に捉え、同社のツールチェーンの規則やセマンティクスにより忠実に従う傾向が見られました。

ブラインド形式の直接比較評価において、Diode の電気エンジニアは Opus 4(60% 対 40%)や Sonnet 4(82% 対 18%)が生成したものよりも、Sonnet 4.5 の参照設計を多く選びました。

今後の方向性

Diode との協業モデルは、明確な成否の基準を持ったタスクにおいて Claude がエージェント型として導入されている領域や業界であれば、あらゆる企業で応用できます。Anthropic は、幅広い分野や産業で Claude が最も優れた仮想コラボレーターとして活躍できるよう、絶え間ない改良に注力しています。深い専門知識を要し、現場独自のプロセスやツールに依存するような業務においてこそ、Anthropic との緊密なパートナーシップが大きな効果を発揮します。

今後の Claude のさらなる進化に向けて、Anthropic とのパートナーシップにご興味をお持ちの場合は、こちらのフォームにご記入ください。後日担当者からご連絡いたします。

謝辞

本記事は、Diode Computers の Davide Asnaghi 氏と Lenny Khazan 氏、および Anthropic の Connor Jennings 氏、David Hershey 氏、Nicholas Marwell 氏の協力により執筆されました。

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