動的フィルタリングでウェブ検索の精度と効率を向上
動的フィルタリングを活用することで、複雑なウェブ検索タスクでの Claude の精度と効率が飛躍的に高まります。本記事では、その仕組みと Claude API での利用方法をご紹介します。
Claude Opus 4.6 および Sonnet 4.6 の登場に伴い、新しいウェブ検索ツールとウェブ取得ツールをリリースします。Claude 自身がウェブ検索の過程でコードを書いて実行し、コンテキストウィンドウに取り込む前に結果をフィルタリングできるようになりました。これにより、回答の精度とトークンの利用効率が向上します。
動的フィルタリングによるウェブ検索
ウェブ検索は非常に多くのトークンを消費するタスクです。基本的なウェブ検索ツールを使用するエージェントは、を発行し、検索結果をコンテキストに取り込み、複数のサイトから HTML 全体を取得したうえで推論を行い、ようやく回答を生成します。しかし、検索から取り込まれるコンテキストの多くは無関係な情報であり、応答の品質を低下させる要因となっています。
ウェブ検索における Claude の性能を改善するため、ウェブ検索および取得ツールでは、クエリ結果の事後処理を行うコードを自動的に生成し実行する機能を組み込みました。HTML 全体を読み込んでから推論するのではなく、コンテキストに取り込む前に検索結果を動的にフィルタリングし、不要なデータを削ぎ落として必要な情報だけを残すことができます。
当社はこれまでにこのアプローチは他のエージェントワークフローでも有効であることがわかっており、Claude API の標準機能として対応できるよう、コード実行やプログラムによるツール呼び出しといったツールを追加してきました。今回、この実績ある手法をウェブ検索とウェブ取得の領域にも導入します。
Claude のウェブ検索性能の評価
他のツールは一切有効にしない条件下で、動的フィルタリングの有無による Claude Sonnet 4.6 と Claude Opus 4.6 のウェブ検索性能を評価しました。BrowseComp および DeepsearchQA の 2 つのベンチマークにおいて動的フィルタリングを使用した場合、入力トークン量を 24% 抑えつつ、パフォーマンスが平均 11% 向上するという結果が得られました。
BrowseComp:特定の正解を見つけ出すウェブ検索
BrowseComp は、エージェントが複数のウェブサイトを探索し、意図的に見つけにくく設計された特定の情報にたどり着けるかを評価するテストです。動的フィルタリングの導入により Claude の精度は飛躍的に高まり、Claude Sonnet 4.6 は 33.3% から 46.6% へ、Claude Opus 4.6 は 45.3% から 61.6% へとスコアを伸ばしました。

DeepsearchQA:複数の正解を網羅するウェブ検索
DeepsearchQA は、ウェブ検索を通じて多数の正解を網羅的に探し出すリサーチタスクです。エージェントが検索手順を体系的に計画し、答えを一つも漏らさずに実行できるかをテストします。評価には、適合率と再現率のバランスを示す「F1 スコア」が用いられ、回答の正確さと検索の網羅性の両面から測定されます。
動的フィルタリングの適用により、F1 スコアは Sonnet 4.6 では 52.6% から 59.4% に、Opus 4.6 では 69.8% から 77.3% に改善されました。

トークンコストは、フィルタリング処理のために生成されるコード量に応じて変動します。両ベンチマークにおいて、コスト換算したトークン量は Claude Sonnet 4.6 では減少しましたが、Claude Opus 4.6 では増加しました。実際のコストを正確に把握するためには、本番環境でエージェントが直面すると想定される代表的な Web 検索クエリを用いて、本ツールの評価を行うことをお勧めします。
導入事例:Quora
Quora の Poe は、単一のインターフェースから 200 種類以上のモデルにアクセスできる、世界最大級のマルチモデル AI プラットフォームです。Quora のプロダクト兼リサーチリードである Gareth Jones 氏は、次のように述べています。「当社の社内チームで評価した結果、動的フィルタリングを有効にした Claude Opus 4.6 は、他のフロンティアモデルと比較して最も高い精度を達成しました。コンテキストに生の HTML を読み込んで推論するのではなく、Python のコードを書いて結果を解析し、フィルタリングや相互参照を行うなど、まるで実際の研究者のように機能します。」
ウェブ検索・取得ツールでの動的フィルタリング
Claude API 上で Sonnet 4.6 と Opus 4.6 を用いて新しいウェブ検索および取得ツールを利用する際、動的フィルタリングはデフォルトでオンになります。技術文書の読み込みや引用元の裏付けといった複雑な検索クエリにおいて、先述したようなパフォーマンスの大幅な向上が見込めます。
API での使用方法は以下の通りです。
{
"model": "claude-opus-4-6",
"max_tokens": 4096,
"tools": [
{
"type": "web_search_20260209",
"name": "web_search"
},
{
"type": "web_fetch_20260209",
"name": "web_fetch"
}
],
"messages": [
{
"role": "user",
"content": "Search for the current prices of AAPL and GOOGL, then calculate which has a better P/E ratio."
}
]
}コード実行やメモリなど、各種ツールの一般提供を開始
また、トークンを大量に消費するタスクにおいてもエージェントのパフォーマンスを向上させるため、いくつかのツールの一般提供を開始します。
- コード実行:会話の中でエージェントがコードを実行できるサンドボックス環境を提供し、コンテキストのフィルタリングやデータ分析、計算処理に活用できます。
- メモリ:永続化されたファイルディレクトリによって、会話をまたいで情報を保存・取得。コンテキスト ウィンドウにすべてを保持することなく過去の情報を維持できます。
- プログラムによるツール呼び出し:複数のツールを組み合わせた複雑なワークフローをコード上で処理し、不要な中間データがコンテキスト ウィンドウを埋め尽くすのを防ぎます。
- ツール検索:すべての定義をコンテキスト ウィンドウに読み込むことなく、大規模なライブラリからツールを動的に検出できます。
- ツールの使用例:ツール定義の中にサンプルのツール呼び出しを直接組み込むことで、正しい使い方をモデルに示し、パラメータエラーを削減します。
ご利用にあたって
進化したウェブ検索とウェブ取得、そしてコード実行、メモリ、プログラムによるツール呼び出し、ツール検索、ツール利用例の各機能は、今すぐ Claude Platform でお使いいただけます。ご利用にあたっては、API ドキュメントをご覧ください。