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YC のスタートアップ 3 社が Claude Code を活用してどのように会社を構築したのか?

政府機関との契約を獲得した非技術系創業者から大規模な開発者まで、agentic coding がスタートアップの戦略をどのように書き換えているかをご紹介します。

スタートアップアクセラレーターである Y Combinator は、2005 年以降、企業の合計評価額が 8,000 億ドルを超える 5,000 社以上を立ち上げています。これには、Airbnb、Stripe、DoorDashといったよく知られている企業も含まれています。

今日、Claude Code などの agentic coding ツールは、YC スタートアップがどのように開発し、事業を拡大するかの方法を根本的に変えつつあります。創業者は今や、ターミナルから直接製品をリリースできるようになり、開発サイクルを数週間から数時間に短縮できます。そのため、非技術系の創業者でも、初日から既存の大手企業と競争できる環境が整いつつあります。

この変革を実際に体現している YC スタートアップ 3 社にお話を伺いました。

  • HumanLayer(F24)は、Claude Code を活用してプラットフォーム全体を構築し、コンテキストエンジニアリングの実践を切り開きました。
  • Ambral(W25)は、Claude Code と Claude Agents SDK を活用して構築された高度なサブエージェントによるワークフローを用い、AI 搭載のアカウント管理を拡大しています。
  • Vulcan Technologies(S25)は、Claude Code を活用して、政府や業界が直面する複雑な規制に対処しています。

それでは、詳しく見ていきましょう。

HumanLayer: SQL エージェントから AI 優先のエンジニアリングチームの拡大に至るまで

Dexter Horthy は、SQL ウェアハウスを管理する自律型 AI エージェントを構築していた際、エージェント型技術導入に伴う根本的な(しかし理解可能な)課題に気づきました。それは、企業がデータベースのテーブル削除など機密性の高い操作に AI アプリケーションに監督なしでアクセス許可することに抵抗を感じていたという点です。

すべての始まりとなった製品ピボット

この気づきが、HumanLayer 中核的な知見となりました。ソフトウェアにおける最も有用な機能は、最もリスクの高い機能であることが多くあります。これは特に非決定的な LLM (大規模言語モデル)を活用する場合に当てはまります。

「当社の MVP は Slack 上で人間と連携しながら、基本的なクリーンアップを行うエージェントでした。たとえば、90 日以上参照されていないテーブルを削除するといった作業です」と Horthy 氏は説明しました。「AI アプリケーションに監視なしで未処理の SQL を実行させることには抵抗があったため、基本的な人間による承認ステップを組み込みました」。

 2024 年 8 月、Horthy 氏は MVP を構築し、サンフランシスコ全域の様々なスタートアップにデモを実施し、最初の有料顧客を獲得しました。 

この進展により、HumanLayer は YC F24 バッチに参加することになり、チームは Slack、メール、SMS などのチャネルを通じて、AI エージェントが人間からのフィードバックや入力、承認を受け取れる API と SDK の提供に努めました。

2025 年第 1 四半期を通じて HumanLayer チームは広範な顧客発見を実施し、AI エージェントを開発する数十のエンジニアリングチームと対話しました。その過程で、これまで考慮していなかったエージェント型開発ループのギャップが存在することに気づきました。 

「どのチームも独自のエージェントアーキテクチャを構築していました」と Horthy 氏は説明しました。「単により良い API を構築するだけでは不十分だと気づきました。エコシステムを成熟させるためのパターンや原則を確立するのを支援する必要があったのです」。

この気づきから、Horthy 氏は自分たちの学習成果を「12-Factor Agents: Patterns of reliable LLM applications」」として文書化しました。2025 年 4 月に公開されたこのガイドは話題になり、実運用エージェントシステムを構築した経験を体系化するとともに、新たに注目されつつあるコンテキストエンジニアリングのベストプラクティスを示しました。

Claude Code を活用したフル構築

これらの学習成果を踏まえ、HumanLayer チームは代替製品アイデアやピボットの方向性を模索し始めました。

Anthropic が Claude Code をローンチした際、Horthy 氏とチームはすでにコーディングにおける Claude モデルの強力な支持者でした。彼らはすぐに、この実験的プロジェクトの構築にそのツールを活用し始めました。

「すべてを Claude Code で書き上げました」と Horthy 氏は語りました。「Claude Agent SDK が Opus 4 および Sonnet 4 と共にローンチされ、ヘッドレスでのエージェント実行が可能になったとき、これは大きな変化になると確信しました」。

数カ月にわたり社内で Claude Code のワークフローを改善させた後、Horthy 氏は親しい創業者の友人たちとこれを共有し始めました。

「この作業に全力で取り組む必要があると確信した瞬間は、BoundaryML(YC W23)の Vaibhav 氏との終日ペアリングセッションでした」と Horthy 氏は振り返りました。「最初はVaibhavは懐疑的でしたが、通常1〜2週間かかる作業を7時間で仕上げたことで、彼は納得しました。このワークフローは、他のチームや他のコードベースでも機能するだろうと気づきました」と述べました。

CodeLayer の構築:AI 優先のエンジニアリングの拡大

現在、HumanLayer の製品である CodeLayer は、ワークツリーとリモートクラウドワーカーを活用して、複数の Claude エージェントセッションを並行して実行できるようチームで支援しています。彼らはここで重要なパターンを発見しました。エンジニアが Claude Code を使いこなすと生産性が大幅に向上して、実際の課題は組織的な問題になるのです。つまり、これらのワークフローをチーム全体に拡大することになるのです。

「チーム内で複数の人が AI で生成されたコードをリリースするようになると、まったく異なる種類の問題が発生します」と Horthy 氏は説明しました。「それは、コミュニケーション、協働、ツール活用、そしてマネジメントの問題です。チームがソフトウェアを構築する方法のすべてを根本的に変える必要があるのです」。

2025 年第 4 四半期の初め以来、HumanLayer はあらゆる規模のエンジニアリングチームを対象に、これらのツールとワークフローを導入する複数の大規模パイロットプロジェクトを実施しており、それらはすべて Claude Code で構築されています。

Ambral:サブエージェントを活用した本番システムの構築

Jack Stettner 氏と Sam Brickman 氏は、あらゆる B2B スタートアップ創業者や CRO に共通する課題を解決するために Ambral を設立しました。企業が成長するにつれて、初期の成長を牽引する創業者レベルの顧客との親密さを維持することが不可能になるのです。

Claude Agent SDK によるアカウント管理の変革

急成長を遂げているスタートアップ企業でも、すでに確立された大手企業でも、アカウントマネージャーは50〜100 のアカウントを同時に日常的に管理しています。「50 分の 1 の注意力を費やすだけでは、効果的なアカウント管理体験を提供できません」と Stettner 氏は説明しました。かつては創業者の頭の中に収まっていた顧客のコンテキストは、システム、ログ、Slack メッセージ、会議の議事録、製品利用状況データなど、様々な場所に散在してしまいます。

Ambralは 顧客の活動ややり取りからのシグナルを統合し、各アカウントの AI 駆動モデルを生成します。このシステムは、どの顧客に注意が必要か、そしてその理由を特定し、自動的に拡張施策を実行または推奨するとともに、不満の初期兆候を検地して解約を防止します。

「私たちは、すべての顧客が 1 対 1 のアカウントマネージャーを持つかのような体験を提供しようとしています」と Stettner 氏は語りました。

この若いスタートアップで CTO 兼唯一のエンジニアとして Stettner 氏は、開発には Claude Code を、製品自体の駆動には Claude Agent SDK を大いに活用しています。この技術的アーキテクチャは、様々な Claude モデルから最大限の価値を引き出す方法について、高度な理解を反映しています。

委任型ワークフロー:Opus で思考し、Sonnet で構築し、周囲にサブエージェントを配置

Stettner 氏は、様々な Claude モデルの強味をサブエージェントと組み合わせて活用する、精緻なワークフローを採用しています。

「私は研究や計画には Opus 4.1 を使用しています。Sonnet 4.5 は、私が Markdown で作成した計画を実際に実装できるという点で、本当に素晴らしい性能を発揮しています」と Stettner 氏は説明しました。

彼の開発プロセスは、次の 3 つの明確なフェーズに分類されます。

  1. 研究フェーズ(Opus 4.1):機能実装に必要なバックグラウンドについて深く研究を行います。「私が最も重要だと考えているのは、計画を立てる前に研究を行うことです」と Stettner 氏は強調しました。「Claude に研究を任せ、大規模で詳細な研究文書を作成させてください」。 彼は一連のサブエージェントを活用して コードベースの複数の領域を並行して研究しています。
  2. 計画フェーズ(Opus 4.1):この機能の実装方法について、明確なフェーズごとの計画を作成します。「Opus に実際にどのように実装するかを、明確に区分されたフェーズごとに分けた計画を作成させ、それを私自身が見直します。」必要に応じて、特定の詳細について Opus とチャットしたり、この Markdown ファイルを手動で更新したりします」。
  3. 実装フェーズ(Sonnet 4.5):計画の各フェーズを体系的に実行します。「その後、Sonnet 4.5 を使用して各フェーズを実際に実装します」。

このアプローチは、Stettner 氏が試した他のワークフローよりも優れ、Horthy 氏が Humanlayer で行っている作業からもの影響を受けています。「私はあらゆるコーディングツールを試し、基本的にすべてのモデルを実験しました。Anthropicのモデルは、現時点でツール活用において最も優れていると思います。そして、それはコード変換もできます」。

堅牢な研究エンジンの構築 

製品自体も、このマルチエージェントアプローチを反映しています。Stettner 氏は、各データタイプのサブエージェントを備えた Claude Agent SDK を活用して、Ambral のコア研究エンジンを構築しました。

「Claude Agent SDK を活用して、この膨大なデータ全体に対応できる非常に堅牢な研究エンジンを構築するのに、多くの時間を費やしました」と Stettner 氏は説明しました。「これは Claude サブエージェントを中心に構築されており、データの種類ごとに、そのデータを理解する専門家である専門のサブエージェントを配置しています」と述べました。

ユーザーがシステムとチャットする場面でも、Ambral が顧客向けに自動化を構築する場合でも、すべては Claude Agent SDK と一連のサブエージェントによってバックアップされ、使用状況データ、Slack メッセージ、会議の議事録、製品の操作履歴を取得・推論しています。

アーキテクチャの着想は、Stettner 氏自身の開発経験から直接得ました。「Claude Code のサブエージェントがどれほどうまく機能し、開発を支援したかという点がきっかけだと思いますが、基本的にこれらと同じサブエージェントを採用し、製品自体の研究エンジンにも活用したいと思うようになったのです」。

Vulcan Technologies:非技術系創業者による製品ローンチを支援

Vulcan の CEO 兼共同創業者である Tanner Jones 氏にとって、Claude のインパクトは生産性向上だけにとどまらず、企業構築の民主化にまで及んでいます。Vulcanチームはスタートアップを設立するにあたり、政府の仕組みを市民にとってより良くする製品が必要だと信じていました。そのビジョンは、創業者のどちらもエンジニアリングのバックグラウンドを持っていなかったため、Claude Code がなければ実現不可能だったでしょう。

専任エンジニアなしで製品リリース

Vulcan は、何世紀にもわたって蓄積されてきた問題(規制コードの複雑さ)に取り組んでいます。世界で最も古くから継続している民主的機関であるバージニア植民地議会は、この課題の典型例です。400 年以上にわたる規制の蓄積により、米国で最も精緻で複雑な法規コードの一つが作成されました。

2025 年 4 月に Aleksander Mekhanik 氏と Tanner Jones 氏が Vulcan を共同設立した際、どちらも従来型のエンジニアリングのバックグラウンドを持っていませんでした。Mekhanik 氏は大学で機械学習と数学を学び、Jones 氏の最後のプログラミング経験は、高校での AP JavaScript の授業、紙とペンを使ってコードを書いたとのことでした。しかし、この 2 人は 5 月 1 日までにバージニア州知事室向けに最初の製品プロトタイプを構築し 既存の大手コンサルティング企業を抑えて契約を獲得しました。

「プロトタイプ全体は、Claude を活用して作成しました」と Jones 氏は説明しました。「これは Claude Code 以前のことでした。文字通りスクリプトをウェブアプリにコピーペーストし、メソッドを差し替える作業でした」。プロトタイプを構築した後、彼らは CTO として Christopher Minge 氏を採用しました。Minge 氏は Google で Gemini や Waymo に携わった経験を持っています。その後、6月にClaude Codeがローンチされると、この3人の開発スピードはさらに飛躍的に向上しました。

Vulcan の AI 搭載規制分析により、バージニア州での新規住宅の平均価格は 24,000 ドル低下し、重複する規制要件を特定することで、州民に年間 10 億ドル以上の節約をもたらしました。バージニア州知事は、Vulcan の取り組みを非常に高く評価し、すべての州機関に「エージェント型 AI による規制レビュー」の導入を義務づける、行政命令第 51 号に署名しました。

企業づくりの民主化

Jones 氏にとって Claude Code のインパクトは生産性指標に留まりません。 

「言語と批判的思考を理解できれば、Claude Code をうまく活用できます」と彼は述べました。「実際、人文科学を学んだ人々には幾分メリットがあるかもしれません。AI とのコミュニケーション手段は言語だからです。言語能力に優れ、順序立てたリストや入れ子状の箇条書き、よく練られたプロセスを構築するのが得意であれば、プロンプトの実行精度はより高くなるでしょう」。 

Jones 氏は、Claude Code を Vulcan 成功の主要因と位置付けています。「4 カ月で 3 名の創業者のうち 1 名しか本格的な技術者がいない状態で、州政府および連邦政府との契約を獲得し、トップ VC から 1,100 万ドルのシードラウンド調達を達成しました。これらの成果は、Anthropic の驚異的なツールがなければ実現できなかったでしょう」。 

Vulcanの CTO である Christopher Minge 氏は「本格的な技術」教育を受けていますが、エンジニアリングに対する考え方に変化を経験しました。

「まるで Google で同僚に自分のアイデアやタスクをすべて任せているような感覚です。相手は頻繁にミスを犯しますが、私の役割は複数の Claude Code インスタンスに仕事を委任し、一般的なミスをチェックすることや、アイデアを効果的に伝達することに慣れることです」と Minge 氏は説明しました。

YC 創業者から学ぶベストプラクティス

これら 3 つのスタートアップは、Claude Code の効果を最大限に引き出すために以下を含め、実戦的なアプローチを構築しました。 

1. 研究、計画、実装を明確に分けたセッションとして実施する

「Claude に研究させながら、同時に計画や実装をさせてはいけません」と Stettner 氏はアドバイスしました。「個別のプロンプトを使用し、それを明確なステップに分けてください。」

このパターンにより、コンテキストの混乱を防ぎ、各フェーズが本来の目的に集中できるようになります。主要フェーズごとに新しい Claude Code セッションを開始し、コンテキスト履歴全体を引きずるのではなく、要点だけを次のフェーズに引き渡すようにします。

2.  コンテキスト管理は、慎重に行う

Stettner 氏が他の創業者に勧めるのは、慎重なコンテキスト管理に関するアプローチです。

「コンテキストが重要です。予期しない出力や低品質な結果が表示された場合、一般的にプロンプトのどこかに矛盾があったことが原因です」と彼は説明しました。システムプロンプトにどのような情報を入力するか、または新しい会話を開始するタイミングを決めるかという点については、慎重に検討してください。コンテキストを曇らせたくないからです。プロンプトに矛盾があると、出力の品質は低下します」。

3. 思考の連鎖を監視し、必要に応じて介入する

「思考の連鎖を注意深く確認し、何をしているかを観察してみてください」と Jones 氏は提案しました。「不適切な挙動が見えたら、すぐに中断できるように常に備えておいてください」。

これは、複数のインスタンスを同時に実行する場合に特に重要になります。最初の数回のツール呼び出しで間違った方向性に気づくことは、Claude Code に誤ったアプローチを最後まで実行させるよりも、はるかに多くの時間を節約できます。

新規構築者のメリット

これら 3 つのスタートアップは、 Claude Code などのツールを活用した企業構築の在り方において根本的な変化を示しています。HumanLayer はピボットとスケールを行い、現在の YC エコシステム全体で活用されているコンテキストエンジニアリングの実践を体系化しました。Ambral は、少人数の創業チームで大規模なカスタマーサクセスに取り組んでいます。Vulcan は、非技術者でありながら政府との契約を獲得しました。

技術的な専門知識、チーム規模、開発時間などソフトウェア構築にあたっての従来の障壁は、明晰な思考力、構造化された問題分解能力、AI との効果的に協働する能力といった新しい競争優位性に置き換わりつつあります。

Claude Code を活用して構築してみませんか? 利用開始する。

「私たちは日常的な業務を自動化しています。今日の営業業務の80%は手動で、手間のかかるデータ作業です。 AIの時代には、人間は真に人間らしいクリエイティブな仕事に集中できるようになり、データ作業をAIの手に委ねることができます」

Matthew Quan、エンタープライズグロースリード

「Claude Sonnet 4.5のインテリジェンスは、Augmentのコードベースのコンテキストをより効果的に活用し、長期的なタスクを処理し、当社が積極的に検討している新しいエージェントの可能性を切り開きます」

Guy Gur-Ari、共同創業者
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